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フッ素加工のフライパンは体に悪い?



本日投稿予定の家庭料理クイズ


「フッ素加工のフライパンは、からだに悪い?」
そう思っていた私が、あらためて調べてみました
先日、家庭料理クイズを作っていて、フライパンについての問題を一つ作りました。

「フッ素加工などの、焦げつきにくいフライパン。お料理が終わった直後の熱いフライパンに、してはいけないことは何でしょう?」

正解は、

「急に冷たいお水をかけること」

です。

熱いフライパンを急に水で冷やすと、急激な温度変化によって、コーティングを傷めたり、フライパンそのものを傷めたりすることがあります。

ここまでは、フライパンを長く使うための、ごく普通のお手入れのお話です。

ところが、この問題を作っている途中で、私はふと思いました。

「そういえば私、フッ素加工のフライパンって、あまりからだによくないと思っているんだった」

私は料理を仕事にしています。

料理教室では、できるだけ家庭で長く使える道具や、昔から使われてきた調理法をお伝えしたいと思っています。

ですから、フッ素加工のフライパンについても、

「くっつかなくて便利なのは分かるけれど、私はあまり使いたくない」

という気持ちがありました。

でも――

それは、きちんと調べた上での考えだったのだろうか?

急に気になってしまったのです。

そこで今回は、少し時間をかけて調べてみました。

「フッ素加工」と聞くと、私は何を心配していたのか
「フッ素加工のフライパンは危険」

そんな話を、これまでに一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

私も、その一人です。

特に気になっていたのが、「PFOA」「PFOS」といった名前です。

これらはPFAS(有機フッ素化合物)と呼ばれる物質の一部です。

PFASは非常に多くの種類がある大きなグループで、環境中で分解されにくいものもあり、健康や環境への影響について、現在も国際的に研究や評価が続いています。

欧州食品安全機関(EFSA)も、PFASについて健康影響を評価しており、PFOA、PFNA、PFHxS、PFOSの4物質について耐容週間摂取量を設定しています。

つまり、

「PFASについて心配すること自体がおかしい」

という話ではありません。

実際、心配される理由はあります。

ただし、ここで大切なのが、

「PFASという大きなグループの問題」と「現在使われているフッ素樹脂加工のフライパン」を、そのまま同じものとして考えてはいけない

ということでした。

フッ素加工の「フッ素樹脂」とは?
一般的なフッ素加工のノンスティックフライパンでは、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)というフッ素樹脂が使われています。

PTFEは、非常にすべりやすく、熱や薬品にも強いという特徴があります。

だからこそ、

・食材がくっつきにくい
・少ない油でも調理しやすい
・洗いやすい

という、料理をする側にとって便利な性質が生まれます。

「便利だから使われている」というだけではなく、メーカー側も長い年月をかけて、コーティングの性能や品質管理を行っています。

例えば、Teflon™ブランドを展開するChemours社は、現在も調理器具向けコーティングについて品質管理や安全性の確認を行い、本来の用途で正しく使用することを前提に安全性を説明しています。

そして現在のTeflon™ブランドのPTFE製品は、PFOAを使用せずに製造されていると同社は説明しています。

ここは、私が以前考えていたよりも、ずっと整理して考えなければいけないところでした。

では、フッ素樹脂は絶対に安全なの?
ここは「絶対に安全」と言い切るのも違います。

ポイントになるのが、使い方と温度です。

フッ素樹脂は、通常の調理で本来の用途どおりに使う場合には問題がないとされていますが、過度に高温にすると話が変わってきます。

食品安全委員会が紹介しているドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)の情報では、PTFEコーティングされた調理器具を本来の用途で使用する場合、健康への悪影響は予想されない一方、過度な加熱、特に空の状態での高温加熱は避けるよう勧告されています。

高温になると、コーティングが分解して、有害な蒸気が発生する可能性があるためです。

だからこそ、

「フッ素加工だから危険」

というより、

「フッ素加工のフライパンには、守るべき使い方がある」

と考えたほうが正確なのだと思います。

日本では、どのように扱われているのでしょう
日本にも、食品に触れる器具についての規格があります。

食品安全委員会が紹介している厚生労働省の回答では、食品に使用される器具・容器包装について、食品衛生法に基づく規格基準が定められており、フッ素樹脂を含む合成樹脂についても、一般規格などを満たす必要があるとされています。

さらに、製造業者が製品ごとに耐熱温度や使用上の注意を表示している場合には、その注意事項を守って適切に使用するよう案内されています。

つまり、日本でも、

「フッ素樹脂だから一律に危険」

として扱われているわけではありません。

食品に触れる器具として、一定の規格や安全性を考えた上で使用されているのです。

アメリカではどうでしょう
アメリカのFDA(食品医薬品局)も、ノンスティック調理器具に使われる一部のPFASについて、食品接触用途として認めています。

FDAによれば、ノンスティックコーティングに使用されるPFASは、重合された大きな分子としてコーティングに結合され、食品へ移行する量はごくわずかとされています。

一方で、FDAはPFAS全体を「すべて安全」としているわけではありません。

例えば、食品包装用の油脂耐性剤として使われていたPFASについては、安全性の評価を経て、アメリカでは2024年に市場からの販売終了が発表されています。

ここにも、

「PFASなら全部同じ」ではない

ということが表れています。

使われる物質、使われる場所、量、食品への移行の可能性などを分けて考えているのです。

ヨーロッパでも「使い方」が重要
ヨーロッパでも、PTFEコーティングされた調理器具について、通常の使用と過度な加熱を分けて考えています。

食品安全委員会が2025年に紹介したBfRの情報では、PTFE加工の調理器具を本来の用途で使用した場合、健康に悪影響を及ぼす量のフッ素化合物が食品中に放出されることを示すデータはないとされています。

一方で、360℃を超えるような過度な加熱では、有害な蒸気が発生する可能性があるため、空の調理器具を過度に加熱しないよう勧告されています。

つまり、日本、アメリカ、ヨーロッパを調べてみても、

「普通に使っているだけで危険なフライパン」という扱いではない

というのが、現在確認できる情報でした。

では、メーカーはどう考えているのでしょう
ここは、消費者側だけの情報を見ていると分かりにくいところでした。

フライパンを作っている側にとって、当然ですが、

「安全な製品を作る」

ことは非常に重要です。

例えばTeflon™ブランドを持つChemours社は、調理器具向けコーティングについて、厳しい品質保証基準を設けていると説明しています。

また、製品の安全性について、販売される地域ごとの規制に対応することも明記しています。

もちろん、メーカー自身の説明ですから、そのまま「だから絶対に安全」と受け取るのではなく、公的機関の評価と合わせて見る必要があります。

でも、今回調べてみて私は、

「フライパンを作っている人たちが、何も考えずに危険なものを売っている」

というような単純な話ではないことも分かりました。

これは、私にとって大きな発見でした。

それでも私は、フッ素加工を積極的には選ばないと思う
ここまで調べて、

「では、明日からフッ素加工のフライパンを使おう!」

となったかというと――

私は、やっぱりそうはなりませんでした。

(笑)

ここは科学的な「安全性」と、私自身の「道具の選び方」を分けて考えたいと思います。

現在確認できる情報からすると、

フッ素加工のフライパンを、本来の用途で適切に使うことまで「危険」とする根拠は確認できませんでした。

これは、今回調べてみて私自身が認めなければならないところです。

でも私は料理を教える立場として、

「長く使えるもの」

「使い方を覚えれば、素材そのものを楽しめるもの」

「多少手間がかかっても、自分で扱い方を身につけられるもの」

に魅力を感じます。

鉄のフライパンやステンレスなど、フッ素樹脂加工ではない道具にも、それぞれ良さがあります。

食材がくっつかないことだけを考えれば、フッ素加工はとても便利です。

でも、

「なぜくっつくのか」

「どうすればくっつかずに焼けるのか」

を覚えることも、料理の楽しさの一つだと思っています。

ですから私は、

「フッ素加工は危険だから使わない」ではなく、
「安全性を確認したうえで、それでも私は別の道具を選びたい」

というところに、今のところ落ち着きました。

そして、今回もう一つ気づいたこと
私は今まで、

「フッ素加工はからだによくない」

という一つのイメージを持っていました。

でも、それを今回きちんと調べてみたら、

PFOA・PFOSなどの問題

PFASという大きなグループの問題

PTFEというフッ素樹脂

実際のフライパンのコーティング

通常の使用なのか、過度な加熱なのか

と、一つ一つ分けて考える必要がありました。

「危険」「安全」と一言で決めてしまうのは、案外簡単です。

でも、本当に知りたいと思ったら、その間にたくさんの段階があります。

料理も同じなのかもしれません。

「これはこうするもの」

と覚えるだけではなく、

「なぜ?」

と一度立ち止まってみる。

そうすると、今まで何となく信じていたことが、少し違って見えてくることがあります。

私はこれからも「なぜ?」を大切にしたい
今回のことを調べて、私は少し反省しました。

料理を教えている以上、

「昔からこうだから」

「みんながそう言っているから」

だけで、生徒さんに伝えるのはよくないな、と。

もちろん、家庭料理には昔から受け継がれてきた知恵がたくさんあります。

でも、科学や道具は変わります。

昔は正しかったことが、今ではもっと良い方法に変わっていることもあります。

反対に、昔から言われてきたことが、調べてみたらちゃんと理にかなっていた、ということもあります。

だから、

「これは本当なのかな?」

と思ったときには、できるだけ公的機関の情報や、メーカーの情報、海外の基準なども見ながら、自分なりに考えていきたいと思っています。

今回のフッ素加工フライパンについては、

「危険だから使わない」

という結論ではなく、

「通常の使用では安全性が確認されている。一方で、高温での空焚きなどは避けるべき。私はそれを知ったうえで、料理を教える道具としては、別の選択をしていきたい」

というのが、今の私の気持ちです。

そして、もしこれから新しい情報が出てきたら、私の考えも変わるかもしれません。

それでいいと思っています。

「一度決めたことを変えない」ことより、

「新しいことを知ったら、考え直すことができる」

ほうが、これからの私には大切なことなのだと思うからです。

料理のことも、道具のことも、まだまだ勉強することがたくさんあります。

これからも「どうして?」を大切にしながら、皆さんと一緒に、楽しく料理を学んでいきたいと思います。





長くなりました。

最後までお読みいただきありがとうございます。







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